6回目となる今回は、土地の購入時に注意していただきたい「土地と道路の関係」について話をさせて頂きます。土地と道路の関係は敷地面積に影響を及ぼすのです。
「建物付きの土地を買った。後年、古くなったので建て替えようとしたら敷地が狭くなった。」そんなことが実際に起こることがあります。昔からの自分の土地で、そこに建物を建ててある方でも同じです。
なぜこんなことが起きるのでしょう?
◆敷地は道路に接していなければならない
1950年に施行された建築基準法には接道義務(せつどうぎむ)というものが定められています。「建物の敷地は幅4m以上の道路に、2m以上接している必要がある」という決まりです。災害時に住民が避難できるように、また救急車や消防車が通れるようにするためです。
しかし、建築基準法の施行当時は、この基準を満たしていない土地、つまり幅の狭い道路にしか接していない土地がたくさんあったので、そのすべてを法律違反として扱うと社会が大混乱に陥る恐れがありました。
そこで、例外規定が設けられます。幅が4m未満でも、自治体が特別に認めたものは道路とみなし、建物が建っていても構わないとするものです。このような道路をみなし道路、またはその根拠となる条文「建築基準法の第42条2項」にちなんで2項道路と呼ばれます。
◆2項道路に接した土地は、建て直しで狭くなる
さて、本題はここからです。
いくら例外規定といっても、いつまでも道路が狭いままでは災害対策としては問題です。そこで、「2項道路に接している土地は、建物を建て直す際、幅4mの道路を確保できるように建物を少し奥に下げなさい」という決まりがあるのです(これをセットバックと言います)。こういう決まりを作っておけば、長い年月はかかりますが、問題は解決していくというわけです。
「幅4mの道路を確保できるように」するため、具体的には、通常は道路の中心線から2m離れたところまで、敷地を下げなければいけません。これをセットバックと言います。
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道路の中心から2mというのは道路の両側に建物用の敷地がある場合です。両方で2mずつ距離をとれば4mの道路ができるという理屈です。ですから、道路の反対側が川だったり崖だったりする場合は、道路の向こう側の端から4m下げる決まりになっています。 |
このような仕組みで、2項道路に接している土地は建物を建て直すときに敷地が狭くなるのです。このような土地は、販売図面に「セットバックあり」などと記載されています。見落とさないよう注意しましょう。
なお、このセットバックは、建物の老朽化などにより持ち主の意思で建て直すときはもちろん、火事などの災害によって建て直さざるを得なくなったときも、同じように行わなければいけません。
また、パッと見で「どうみても普通の道路だな」と思えるものが、調べてみると実は2項道路だったということも少なくありません。その場合ももちろん、セットバック義務が生じてしまいます。
◆敷地が狭くなることのメリット、デメリット
「土地が思っていたより狭い」、それ自体が既に気分的にもデメリットですが、セットバック分の面積は、建ぺい率や容積率を計算する時にも除外されます。したがって、建坪や容積の上限も当然少なくなるのでご注意ください。
ただ、これらの面積は固定資産税の計算からも除外されます。ですから、建て直しによって税金が少し安くなるというメリットも無いわけではありません。既にセットバック済みの方は、本来なら除外されるべき分まで税金を多く払い過ぎていることもあるので、一度確認してみることをおすすめします。思わぬ節税対策になるかもしれません。
2項道路やセットバックについてよく分からない点があれば、恥ずかしがらず、不動産業者にじゅうぶん説明してもらいましょう。弊社では「わかりやすく」「お客様の立場で」を心がけ、皆様が納得ゆくまで説明をさせて頂いています。どうぞ、ご遠慮なく何でもお聞きください。
◆不動産業者にしっかり確認
道路と土地の関係は、見た目だけでは分かりません。法務局や市役所など行って調べるものなので、通常は不動産業者が行います。また、販売図面には概要だけしか掲載されていないことがあります。
「ここはいいな」と思う土地があっても、あわてて契約せず、必ず不動産業者に道路と土地の関係などを調査してもらいましょう。水道管やガス管が、道路の下の本管だけでなく土地への支管まできちんと伸びているか、などの調査も必要です。
弊社では、自社物件は当然のこととして、仲介物件の場合でも、契約の前に道路・水道・ガスなどの状況をしっかり調査いたします。調査費用はもちろん無料です。お客様のお役にたてるよう、誠意を持って努力します。是非、お気軽にご相談ください。 |