ステージでのパフォーマンスを終えたばかりの北川さんに楽屋でお話を伺いました。
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北川 純(きたがわ・じゅん)さん
現代アート作家。愛知県出身、磯子区在住。44歳。 |
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--- お疲れ様でした。先ほどのパフォーマンスですが、なんと呼べばいいでしょうか。
北川:「濡れTプロジェクト」って呼んでます。僕はいろいろなTシャツを作ってるんですけど、その一環ですね。
--- 白い布を水で濡らすと体が透けて見えて、それがTシャツの絵柄のように見える・・・、あれも一種のTシャツだっていうことですね。
北川:そうそう、そうそう。
--- どういう発想で始められたんですか?
北川:僕が作るTシャツは、エロいTシャツが多いんですけど、普段は自分で絵を描いて・・・、シルクスクリーンていう版画の技法でプリントしてるんですね。いま一般的にもTシャツは、シルクスクリーンていう技法で作ることが多いんですよ。
で、そうじゃない、違う技法は無いかなと思ってね。そのときに、濡れて透けた状態をそのままTシャツの柄にできたら面白いんじゃないかなぁと、いうのが発想ですね。
パフォーマンスの最後に写真を撮って、そのままインクジェットのプリンタでTシャツにプリントアウトするんですよ。それを着れば濡れたように見えるっていう。(※そのTシャツは、ステージの最後に披露されました。)
--- 今日はジャズの生演奏とのコラボレーション・パフォーマンスでしたが、いかがでしたか?
北川:僕は自分のペースでやってるから、合わせる人が大変だったかもしれない(笑)。
--- このパフォーマンスは今日で3回目ということでしたが、これまではどんな感じだったんでしょうか。
北川:1回目は去年の7月くらいかな。で、2回目は昨日(笑)。フランス大使館の芸術イベントの中でやりました。僕だけじゃなくて、いろんな人が作品出してて。で、(事前にできていた)そのフランス大使館でのイベント・チラシをJazz寄席のスタッフの方が見て、「これいいねぇ、ウチでもやってよ」って。そしたら偶然日程が次の日でね、2日連続の「濡れT」になりました。
--- 昨日のフランス大使館ではBGMはあったんですか?
北川:ありました。昨日はわりとロック系な感じだったかな。ロックと映像を一緒に、VJと一緒にやってる人たちと共演したんですね。彼らを呼んだ理由は、VJの人がスクリーンを使うんですよ。だから、まず最初にスクリーンに映像を流してもらって、そのスクリーンに女の子が入って、映像が消えて、濡れTが始まるっていう、そういう風にしたんですよ。
--- ロックとジャズだと、「濡れT」パフォーマンスの印象も違ってくる気がしますがどうでしょう?
北川:どうなんでしょう。やっぱり違うと思いますね。どうなんだろうなぁ・・・うーん。僕はやってる方だから、終わってどうだったかっていうのが良くわかんないんですよね。だから今日のは、いま終わったばかりでよく分かってないんですけど。昨日も自分では良くわかってないんだけど、見てくれた人がみんな「良かった」「良かった」って言うから、あぁ、良かったんだろうなぁって。
--- 見に来てくれた人の反応で。
北川:そうそうそうそう。それでしかわからないですね。
--- ところで、今日ステージに飾られていたオブジェについて教えてください。 北川:
最初にJazz寄席のイメージ・チラシを作ってくれって(Jazz寄席のスタッフから)言われたんですよ。それで、どういうコンセプトにしようかっていう話をして、ジャズと寄席のイメージがわかるように、それと横浜のイメージが感じられるものがいいと。
それで考え始めて、まず横浜らしさって何かなって思った時に、僕は赤い靴を履いた女の子を・・・。他にベイブリッジとかあるけど、それじゃ月並みだなと思って。ジャズは歌もあるから、(そこからの連想で)童謡の『赤い靴』を思い出して。あぁ、それが横浜っぽいかなと思ってね。そこにジャズのトランペットと落語の座布団をミックスさせて、ああいうのを作ったんですよ。
で、面白いのができたなって自分でも思ったんで、舞台のオブジェも作って欲しいって言われた時に、あれを巨大化したものを、風船を使って立体で作ることを提案したんです。僕は風船でいろいろ作品を作ってるんですよ。素材として風船を使うのは得意なんで。
--- チラシより風船の方が、女性の足がちょっとふくよかな感じですね。
北川:そうですね。難しいなと思ったのはね、あの風船は初めて特注したんですよ。自分ではあれだけの大きさのものは作れないから。そしたら人が作るわけだから、自分のイメージとは少し違って・・・。僕も最初見たとき、ちょっと太った足だなと思った。
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こちらが、立体化され、ステージに飾られたオブジェ(クリックで拡大します) |
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--- 少しイメージにずれがあったんですね。
北川:うーん、そう。こんなイメージでっていう模型も作ったんですけど、それ以上にふくよかだった。でもまぁ、はっきり言って風船屋さんも裁断したりしてやってるから(膨らませてみるまで)わかんないんだよね、たぶんね。
--- でも風船のふくよかな感じも、なまめかしくていいですよね。
北川:うん、だからこれはこれでいいかなと思ってね。
--- この作品のタイトルは?
北川:あぁ・・・、聞かれたことなかった・・・(と、北川さん、その場でタイトルを考えてくださり)、『赤い靴はいてた女の子のその後』(笑)。
スタッフの方:女の子が海外に行ってからジャズ・シンガーになって、帰ってきたのかもしれない(笑)。
北川:あぁ、そうかもしんない(笑)。 |