小学生の力で再建されたお地蔵様
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2008年3月17日、19日取材 |
杉田の商店街「ぷらむろーど」の裏道にひっそりと佇んでいた「聖天地蔵」。長年の雨風で損傷がひどくなっていたところに、昨秋の台風9号で、もはや原形をとどめないほどに壊れてしまいました。
それを台風の直後に見つけたのが、杉田小学校の6年1組(当時)の児童たち。
彼・彼女たちは、総合的な学習の時間で4月から地元・杉田のことを学んでいました。川にウヨウヨ魚がいることを発見し、川の隣にある東芝の協力を得て川の水質検査をしたり。その川が「聖天川」という名前で、今でも交差点の名前になっている「聖天橋」と関係があることがわかったり。(ちなみに、川の名前が聖天川であることは、地元の人でも知らない人が多いそうです。)そんなことがキッカケで子ども達は「聖天地蔵」を知りました。
そのお地蔵様が壊れてしまった。
台風が過ぎ去った週明けの朝、担任の加土井(かどい)先生のもとに、何人かの子ども達が駆け寄ってきて「聖天橋のお地蔵様がないんです!」と報告。急遽、予定を変更してクラス全員でお地蔵様を見に行くことになりました。すると、お地蔵様が粉々になり、周囲に散らばっていました。
「お地蔵様を救いたい・・・」
「(再建のための)募金をしようよ!」
そんな声がすぐに子ども達から飛びました。でも、ただ「募金をお願いします」と言うだけでは、お金は集まらないよ、という加土井先生からのアドバイスもあり、これまでの授業で杉田について、お地蔵様について調べてきたことを発表し、趣旨を理解してもらったうえで募金をお願いしよう、ということになったそうです。
10月からはじめた発表の準備は、今年の1月までかかりました。ぷらむろーど商店街の黒川会長に発表の場を提供してもらえるようお願いしたところ、快くOKの返事がもらえました。発表のリハーサルも見てもらったところ、会長からは「声を大きく」など3つの課題が出ます。練習を重ねてその課題も克服し、いよいよ2月の3日間、商店街事務所で発表を行いました。
最初は通りがかる人たちもあまり興味を持ってくれなかったそうです。子ども達は考えました。「積極的に話しかけて会話をしたらいいんじゃないか」、「自分達が話すだけじゃなく、相手の方の話も聞くことが大事なんじゃないか」。
そんな発案が功を奏しました。まちの歴史を色々な人に教えてもらい、発表の後日、励ましの手紙をもらったりと、子ども達はコミュニケーションの大切さも学びました。
集まった募金額は10万3千457円!
このお金を持って、らびすた1階の間辺工務店にお地蔵様の再建を依頼します。 |
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加工作業を子ども達自身で見学&体験
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さて、ここから磯子マガジンの取材スタートです。
3月17日、いよいよお地蔵様が完成間近になり、間辺工務店での最後の仕上げ風景を、子ども達が見学&体験しました。 |
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間辺昭夫さんが、お地蔵様ができるまでの工程を解説。 |
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文字をクッキリさせるためのサンドブラスト作業。大きな箱の中で行います。 |
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裏面には「杉田小学校」「六年一組」の文字も刻まれています(クリックで拡大) |
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お地蔵様を彫ったのは、茨城県つくばの石彫刻専門の職人さん。間辺さんから子ども達の話を聞き、一生懸命彫ってくれたそうです。とても優しくかわいらしい顔をしています(拡大できる写真は、この後、登場します)。 |
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この日の授業はここで終了。そのまま流れ解散。ちょっと羨ましい・・・ |
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いよいよ完成
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作業見学から2日後の3月19日(子ども達の卒業式の2日前!)、完成したお地蔵様のお披露と設置式が行われました。 |
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お待たせしました。この写真はクリックで拡大できます。 |
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地元の人たちの力
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今回のお地蔵様再建には、子ども達の姿に心を動かされた、多くの地元の人たちの協力もありました。 |
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間辺工務店の間辺社長(左)と、ぷらむろーど杉田商店街の黒川会長(中)。 |
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菓子一さんからは紅白饅頭が配られました。中央のスーツ姿の男性が杉田小・菱校長。 |
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昔の杉田のまちについて、貴重なお話をしてくださった地元の方に感謝状。 |
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他にも協力した地元の人たちに、子ども達から手作りの感謝状が贈られました(クリックで拡大) |
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和菓子店「菓子一」にも、赤丸の部分に感謝状が貼ってあります。 |
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感謝状の文面は、一枚一枚違っています(クリックで拡大) |
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加土井先生(6年1組担任)の話
総合的な学習の時間は、他の授業のように決まった内容・手順で進めるものではなく、子ども達の自主性に任せる部分が大きいので、教師にとっては大変なエネルギーがいります。でもその分、やりがいもありますね。今回は「聖天川を学ぶ」ことが年間のテーマになるかと思っていたのですが、9月の台風でお地蔵様が壊れてしまったことに子ども達が強く反応し、流れが変わりました。こんな風に1年を終えるのは、私にとっても初めての体験。とても心に残る授業になりました。
間辺工務店・間辺昭夫さんからのメッセージ
今回の工事の主役は、勿論六年一組の児童達です。その主役達が学習・活動した結果、多くの地元の方が敬意を表し募金にご協力下さいました。その結果、103,457円という金額が集まりました。
当社は地域の石材店ということで、今回石工事のご用命を戴きましたが、他の地元の方と同様に、今回の学習、活動に敬服しております。なおかつ、地元の方達の善意の募金を活用しての工事ですから、日頃お世話になっております地元・地域への感謝の気持ちも十分に込めて、今回の仕事に取り組ませて戴きました。
卒業式迄に完成させる事、お地蔵様の顔の表情、台石の加工作業、文字書き(パソコンの字体は使っていません)、彫刻・サンドブラスト作業、弊社内で行う加工・彫刻作業を加土井先生・児童達が体験、見学できる事、現地での取付け作業・・・・。伝統工芸士でもある彫刻職人の、理解・賛同・協力も得ることができ、お蔭様を持ちまして、3月19日に完成致しました。
多くの皆様に喜んで戴き、私達はこれ以上の仕事冥利、達成感はありません。叉、今回の工事のご縁に大変感謝しております。
間辺工務店から提供頂いた、「お地蔵様のできるまで」の写真も公開いたします。写真をクリックで、さらに多くの写真が見られます。 |
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聖天地蔵はここにあります!
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それでは聖天地蔵の場所を詳しくご紹介します。新杉田駅から徒歩3〜4分でしょうか。京急の杉田駅からだともう少しだけかかります。 |
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今回はぷらむろーどの新杉田駅側(16号側)からスタート。 |
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ここからはどちらの駅からでも一緒。本屋の静樹堂の角を路地に入ります。 |
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愛知屋酒店が見えてきたら、その手前左側のコイン・パーキング「Times」料金器の脇に・・・ |
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コイン・パーキングの中から見ると、赤丸の部分です。 |
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聖天地蔵、および今回の再建に関わった関係各所の地図はこちらです。
関連リンク
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