図書館でコンサート!?
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2011年4月30日取材 |
“音を出してはいけない場所の代表”といえば図書館。歩くときは静かに。話すならヒソヒソ声で。
そんなイメージのある図書館ですが、磯子区総合庁舎の地下1階にある磯子図書館で、なんとコンサートが開催されました。演奏したのは磯子区に住むフルート奏者の吉川久子(よしかわ・ひさこ)さんと、吉川さんの演奏者仲間であるギタリストの千代正行(ちよ・まさゆき)さん。題して『ライブラリー・フルートコンサート
〜音から描かれる物語〜「桜」』。
横浜市ではもちろん、神奈川県でも初めてという「図書館でのコンサート」がどのように行われたのかをレポートいたします。 |
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節電のため、総合庁舎内のエスカレーターは全て休止中(左写真)。
図書館には、奥の階段で向かいます(右写真)。 |
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さすがに図書館が開いている間はコンサートはできません。閉館後の午後5時半が開演予定。写真左は5時少し前の様子です。写真右は、カーテンを閉め、閉館準備を始める磯子図書館の本多館長。 |
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本日最後のお客様が貸し出し手続きを終えると、スタッフの方がすぐにフェンスを端まで移動。広くなったところが客席になるようです。 |
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図書館のスタッフ、それに図書館サポーターズクラブの皆さんの手で、どんどん椅子が並べられていきます。 |
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その行列は階段を上がって、1階にあふれるほどでした。 |
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ここで、今回のコンサートの出演者についてご紹介します。
吉川久子さん(フルート)
東京生まれ、鎌倉育ち、そして15年ほど前から磯子区にお住まい。十数枚に及ぶCDリリースや全国各地でのコンサートはもちろん、音楽を題材にした執筆活動も行われていて、産経新聞でコラム「音を楽しむ」を長年に渡って連載。また、昨年(2010年)、著書『マタニティコンサート』を磯子図書館に寄贈したことから図書館との交流が始まったそうです。 >>吉川久子さん公式サイト
千代正行さん(ギター)
1979年、Mellow Guitar Vibratin(RCA)でデビュー。40歳以上(?)には懐かしの大ヒット曲『山口さんちのツトム君』オリジナル版を編曲。「日本の音楽シーンにおいて、ドラマ・CMなどアコースティックギターの音色が聴こえてきたら、かなりの確率で彼の演奏」「竹内まりや、森山良子、石川さゆりから、ドラえもん、ポケットモンスターまで…。あらゆる分野で活躍するアコースティックギターの職人」 >>千代正行さん公式プロフィール
お二人は、10年ほど前にNHKの番組で共演して以来、コンサートやレコーディングで一緒に演奏するようになったそうです。さぁ、そんなお二人が登場するコンサートがいよいよ始まります。 |
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今回のコンサートの企画・運営について図書館側での主担当だった伊沢さんの司会で開演。 |
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図書館を応援する区民の集まり「いそご図書館サポーターズクラブ」の苅部代表からご挨拶。 |
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110名を超える観衆で満員となった客席。ちなみに入場券は事前に無料配布されました。 |
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吉川さん、千代さん登場!
1曲目は「さくらさくら」。 |
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普通のコンサート写真とは違って、背景に本がいろいろ並んでいるところにもご注目を! |
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曲間のお話も楽しい内容でした。磯子区在住の推理小説作家・斎藤栄さんの『湘南太平記』のために書かれた同名曲『湘南太平記』(作曲も吉川さん)を演奏するときに話が出た「磯子図書館の斎藤栄さんの棚」は、赤く囲った部分です。 |
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演奏終了後、伊沢さんから「いまオススメの本」が紹介されるところなど、とても図書館コンサートらしい場面でした。 |
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<< 演奏曲 >>
1.さくららくら
2.谷戸の風 (吉川さん作曲、山内静夫・著『谷戸の風』のイメージ曲)
3.湘南太平記 (吉川さん作曲、斎藤栄・著『湘南太平記』のイメージ曲)
4.星めぐりの歌 (宮澤賢治作曲)
5.新世界 (ドヴォルザーク)
アンコール:めぐりあい |
磯子図書館 本多館長のお話
「吉川さんから、図書館で演奏してみたいというお話もあって、図書館としても新しい試みとして挑戦することになりました。音が無いはずの場所でコンサートを開くっていうのがイイですよね。これをキッカケに、普段あまり図書館に来たことがないという方にも、図書館と言う場所に興味を持って頂いて、もっともっと多くの人に利用して頂けたら、と思います。
今回は、磯子ロータリークラブさん、磯子区医師会さんをはじめ、地元の医院・企業やお店、それにいそご図書館サポーターズクラブさんなど、多くの方々の協力のおかげで、今日のコンサートが実現しました。ありがとうございました。アンケート結果等をこれから整理して、好評ならこれからも続けていきたいですね。」
吉川久子さんのお話
--- なぜ図書館でコンサートを?
“空間”が生み出す音に興味を持っていました。これまで、いろいろな空間、例えばお寺や教会でも演奏したことがありますが、図書館ではやったことがなかったんです。
昔から物語と音の関係に惹かれていました。音から物語が生まれたり、物語から音が生まれたり、そういう関係性ですね。図書館には、文字による物語がたくさんあるでしょう?
それと、今日やってみたら、図書館ならではというか、時計の秒針の音が聞こえたり(笑)。そういう経験も含めておもしろい。シチュエーションを楽しむことができました。
ただ、図書館でのコンサートは、横浜市でも神奈川県でも前例が無いと言うことで、実現までは簡単ではなくて。館長はじめ図書館のスタッフやサポーターの皆さん、地元の団体やお店の方々に多大な協力を頂いて実現したんです。
--- ふだん、本を読んでいるとメロディーが浮かんだりするものですか?
はい! 行間に音があるんですね。だから、今日のコンサートでも皆さんにそういうのを感じて頂けたとしたら、とても嬉しいです。
--- 吉川さんの音楽的なルーツはクラシックですか?
はい。でも今では、タンゴやボサノヴァも演奏します。小さい頃はピアノも習ってました。フルートは中学生の頃からですね。
--- 磯子区在住の斎藤栄さんの小説のイメージ曲を作られたり、現在の地元・磯子区とのつながりも色々あるようですね。
そうですね。磯子カンツリークラブ(※)の50周年記念でイメージ曲を作ったりもしてます。
--- 今日はどうもありがとうございました。ぜひまたここでコンサートをお願いします。
(※)磯子カンツリークラブは、区内唯一にして名門のゴルフコース。クラブ内の中華料理店も有名で、直営ショップが新横浜の駅ビルの3階にあるほか、タカシマヤの催事に参加していることもあります。
付記:会場には、東日本大震災の義捐金募金箱が置かれ、32,370円が集まりました。このお金は、日本図書館協会の義援金を通じて、図書館の復興に役立てられるそうです。 |
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