磯マガ社会科見学:参院選・開票の現場に突撃
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2007年7月29日取材 |
先月29日の参院選では、投票日の夜の恒例になった各テレビ局の「選挙特番」の中でも、自民党の歴史的な大敗が大きな話題になりました。
しかし、磯子マガジンは読者の方もよくご存知のように(?)、選挙速報をやるタイプのメディアではありません。その代わりと言いますか、「選挙の開票っていうのはどういう風にやるんだろう?」と興味を持ちまして、磯子区の開票所である磯子スポーツセンター(新杉田駅より徒歩4分)に、取材に行って参りました。磯子区の開票所はここ1箇所だけ。期日前投票を含め、区内で投票されたすべての票(今回は約8万票)が集まります。
ちなみに、選挙の開票作業は、公平性を保つため、裁判が傍聴できるのと同じように、報道関係者でなくても誰でも見学ができるのです。興味のある方は、次の選挙のときにでも足を運んでみることをおすすめします。ただし、おそらく出口調査などの成果なのでしょう、票のゆくえはテレビの速報の方がずっと早かったことを申し添えておきます。 |
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磯子スポーツセンターの玄関には、開票所の看板が立っていました。 |
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午後8時過ぎの開票所。まだ、人影はほとんどありません。 |
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開票の流れを徹底解明!?
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実際に開票が行われたのは、磯子スポーツセンターの中の「第1体育室」。右上の写真からもわかるように、学校の体育館のような場所です。
それでは、開票の流れを説明します。長くなってしまったので、読むのが面倒な方は、ぐぐっとスクロールして、下の方の写真で開票の雰囲気を味わってくださっても構いません。
さて、下図をご覧ください。開票所は大きく2つに分かれていて、図の上半分(右上の写真で奥側)が比例代表の開票をする場所。下半分が神奈川県選挙区の開票をする場所です。
比例・選挙区それぞれ、大きく4つのエリアに分かれています(図のエリア名称は、わかりやすくなるようにと磯子マガジンが勝手につけたものであり、正式な名称ではありません)。開票は赤い矢印で示したように、図の右から左の方へと進んでいきます。
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【仕分けエリア】 投票箱を開け、中の票をテーブルの上にバラバラっと置き、候補者名や政党名ごとに票を仕分けしていきます。手作業です。仕分けが終わった票は、【点検エリア】の、政党や候補者ごとに用意されたテーブルに持って行きます。 |
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【点検エリア】 ここでは例えば「磯子太郎」候補として仕分けされた票が、本当に「磯子太郎」か、仕分けの間違いで他の票が混じってないかを確認します。これも手作業です。確認が終わった票は【集計エリア】へ。 |
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【集計エリア】 票の数を機械で2度数えます。 |
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【最終確認エリア】 開票立会人と開票管理者が、すべての投票の有効・無効を再確認します。これも手作業です。 |
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作業の途中で「何と読むのか、何と書いてあるのかよくわからない」という票が見つかったら、疑問票として審査係に回され、基準に沿って判定が行われます。 |
以上のプロセスを経て、候補者ごと・政党ごとの得票数が発表されます。ほとんどが手作業でたいへんです。
ちなみに、横浜市の場合、開票作業を行うのは、磯子区役所の職員をはじめ、すべて横浜市の職員です(開票立会人を除く)。今回は300人以上の職員が開票作業に参加しました。
長い説明へのお付き合い、ありがとうございました。以下の写真は、各エリアで磯子マガジンの目に留まったものです。 |
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【仕分けエリア】党名や候補者名が書かれた紙の上に、票を乗せて、仕分けしていきます。 |
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【仕分けエリア】何も書かれていない票や、なんと書かれているか判然としない票を入れるためのカゴ |
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【点検エリア】点検が終わった票を入れておくためのカゴ。候補者の名札が付いています。 |
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【集計エリア】票数を自動でスピーディーに数えてくれる機械。 |
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【最終確認エリア】仕分けされ、枚数を数え終えた票は、最後にここに集められます。 |
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【おまけ】タオル。冷房の効かない開票所で、汗が票に落ちてしまうとくっついて大変なので、開票作業をする人たちに配られました。 |
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●参考リンク 「開票のしくみ」が説明されている横浜市選挙管理委員会のページ。 |
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投票箱が次々に到着
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午後8時15分を過ぎた頃、区内に設置された36箇所の投票所から、次々に投票箱が届き始めました。ひとつの投票所につき比例と選挙区の2つの投票箱があるので、相当な数になります。 |
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午後8時15分過ぎ、いよいよ投票箱が届き始めます。 |
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8時頃に雨が降り出し、雷が鳴り響き、叩きつけるような豪雨になりました。 |
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全国紙やテレビ局などの報道陣。開票結果を、電話やFAXで会社に速報します。 |
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投票箱が届いたからといって、届いた順にすぐに開票が始まるわけではありません。すべての投票箱が届いてから、いっせいに開票作業を始めます。その前に、最後の打合せです。 |
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開票スタート!
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そして9時15分。予定されていた時刻どおりに開票が始まりました。それまで作業手順の確認や連絡などの会話でざわついていた場内が、急にしずまりかえり、全員が黙々と、てきぱきと作業を進めます。これだけたくさんの人がいて、ほとんど話し声が聞こえてこないのは、なんとも不思議な光景でした。 |
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用意された紙の上に、票を仕分けして並べていきます。 |
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空になった投票箱は、スポーツセンターのロビーに運び出されます。 |
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雨いのせいもあってか、参観人席には誰もいません。なお、「席」と言ってもイスはありません。 |
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作業は次第に点検フェーズへ進行します。写真でも、会場の左側に人が多くなったのがわかります。 |
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午後10時の時点で、開票速報は0が並んでいます。投票者数だけは、数字が入りました。 |
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こちらは比例区の速報ボード。やはり発表されているのは投票者数のみ。 |
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奥の箱は、100人以上の比例区記名票を仕分けするためのもの。 |
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午後10:30を過ぎても、開票作業は一向に終わる気配がありません。磯子スポーツセンターのロビーに設置されたテレビの選挙速報では、次々と当選・当選確実のマークが付いていき、自民大敗が報じられ、残り議席数が30あまりになっているのに、です。開票所に貼られた模造紙の速報ボードに記載されているのは、投票者数だけ。
つまり、この記事の冒頭にも書いたように、「投票結果を早く知りたいのが目的なら、開票所を見学するより、テレビにかじりついていた方が良い」ということがわかってしまいました。ただし、磯子区内だけで結果が判明する選挙、たとえば今年の4月に行われた横浜市議選の磯子区選出などでは、慣れた人なら開票所で双眼鏡を使って、票の束のだいたいの数を見るだけで、誰が当選しそうか、わかってしまうそうです。
さて、残念ながら、磯子マガジンはここで時間切れ。本当は、得票数が確定し、朗読されるところまで見学したかったのですが、次の仕事に向かわなければいけません。でも、開票所の雰囲気、作業の大変さは十分確認することができたので、「磯マガ社会科見学」はこれにて終了、とさせていただきました。
後日、区役所で確認したところ、すべての開票作業が終了したのは深夜の1:30。それでも今回は特にトラブルもなく、スムーズに進んだ方なんだそうです。さらには、磯子スポーツセンターの館長も、施設の管理責任者として、開票作業が終わるまで残り、出入り口にカギをかけてから帰路についたとのこと。
開票作業に関係した皆様、最後まで本当にお疲れ様でした。 |
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