地域活動ホーム「いぶき」×イタリア料理店「パパ・ダビデ」の挑戦
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2012年7月30日取材 |
山下公園や横浜人形の家のそば、少し元町寄りにある右写真のビルをご存知でしょうか。かつてテレビ神奈川(tvk)があった場所に建っているこの建物は、グローリオ・タワー横浜元町。業界の人の話では、築7年を経た現在でも人気の衰えない高級マンションだそうです。その1階に入っているイタリア料理店「パパ・ダビデ」が今回の取材の舞台。
本来なら定休日の7月30日(月)、お客様としてお店を訪れたのは、杉田にある「いそご地域活動ホームいぶき」の利用者さん16人と、スタッフ11人。日中活動の一環として、素敵なレストランで食事をしてみようというイベントです。利用者さんには、口からの食事ができない方もお一人いましたが、レストランの雰囲気を体験したい/させたいということで他の利用者さんたちと一緒に参加することになったとのこと。
なお、今回の参加メンバーは、いぶきの利用者さんの中でも障碍(しょうがい)が重い方たちで、普段、レストランを利用することはまず難しいそうです。いぶき側の想いとしては、「そういう人たちにこそ、レストランでの食事を体験して欲しい。そこから次につながる」という気持ちがあり、それに対するレストラン側の理解と協力があって、定休日にお店の貸切という形で、このお食事会が実現しました。 |
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パパ・ダビデの正面玄関。石川町駅から徒歩10分ほど。元町商店街を終点まで歩き、高速をくぐり、信号を渡った先にあります。 |
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「前菜」と「パスタ(6種類からチョイス)」と「デザート(ドルチェ)&ドリンク」のパスタランチ |
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食事のペースは人によってさまざま。スタッフのサポートで食事が進んでいきます。 |
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本日の前菜盛合せは、「生ハムのサラダ」「フリッタータとカポナータ」「マグロのカルパッチョ」でした。 |
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デザート(ドルチェ)。食べやすいように、細かくしてもらったバージョンです。各人の事情によって調理法方を変えてもらえるきめ細かいサービス。 |
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いぶきのスタッフの方たちは、利用者の方たちが食後の一休みをしている間に、交代で大急ぎで、でも「おいしい!」を連発しながらお食事。 |
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最後に、いぶきの利用者代表の方が、パパ・ダビデの前田社長にお礼のプレゼントを渡し、がっちり握手。 |
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今回、食事の様子を取材していて凄いなと思ったのは、出てくるメニューや調理法方が人それぞれに違っていたこと。どうやって決めていったのだろうと、いぶきの森次長に確認したところ、事前にご家族に6種類のパスタを書いた申込用紙を渡し、どれがいいか記入して貰ったんだそうです。
「せっかくのレストランなので、『選ぶ』という行為を大切にしたかったんです。全員の希望をまとめて、レストランとやりとりする作業は大変だったけど、皆が一緒のメニューでは意味がないと思うんですよ。」(森次長)
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参考までに6種類のパスタは「トマトソース」「アサリと春キャベツ」「秦野野菜のペペロンチーノ」「ヤリイカのグリル野菜のリングイネ」「ゴルゴンゾーラのニョッキ」「和風きのこと青菜」。これは通常のパスタ・ランチAと同じ内容なので、読者の皆さんもパパ・ダビデに行けば選べます。(季節によってメニューは変わります) |
さらに、パスタの種類だけでなく、アレルギーの有無や細かく切らないと食べられない等、個々の食事の事情があるので、普段いぶきで食事をしているときの情報を元に、これもパパ・ダビデに相談して、きめ細かく作り分けてもらいました。
そして、お店からは厚意で食事代割引の申し出もあったそうですが、今後も長く続けていくにはきちんと払わないといけないということで、通常の食事代を支払ったそうです。
そんな意欲的なイベント。実際に行なってみて、森さんから見ての感想は?
「おいしいと喜んでいる人、普段と違う環境での食事に不安になる人、いろいろでしたね。ご家族の方には、食事会の写真をお見せしたりして報告したんですが、とても喜んでくださいました。食事会のことが神奈川新聞に載ったのを見せてくださる方もいて、大反響でした。」
一方、お店側はどうだったのでしょう。中島マネージャーに、イベント直後に感想を伺いました。
「何人かの方においしいって言って頂けて嬉しかったですね。でも全ての方ではなかった。だから、全員においしいって言って頂けるまで続けたいです。」
ということで、いぶきとパパ・ダビデの力強いコラボレーションは、今後も続いていきそうです。
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最後に不肖、磯子マガジンの感想を。いぶきの利用者さんには、以前からいぶきのお祭りや肖像画教室で接したことがあり、そのときの印象から「レストランで食事が難しい」という言葉の意味がよくわかりませんでした。
でも、確かに難しいんだということが、食事会が始まるときにすぐに理解できました。これまで磯子マガジンが接していた利用者さんたちは、比較的(あくまで比較的)障碍が軽い人たちが多かったのです。今回の利用者さんたちは重度。基本的に会話は難しいですし、緊張したり不安になると大きな声が出てしまったり、強く足踏みをしたり、急に立ち上がって店の外に行ってしまいそうになったり。食べたくないという感情をストレートに出す人もいます。
もし、そういう風になってしまう理由を知らない一般の人たちがレストランで一緒になったら、一般の人は驚いてしまうでしょう。だから、今回のように事情をよく理解してくれるレストランで、貸切という形でするしかない。
そして、食事会はなかなかスムーズには進みません。それでも、お店の方やいぶきのスタッフの人たちが、一生懸命サポートをすると、最後には食事をしてくれる。時間がかかっても食べてくれて、嬉しい・おいしいという感情が少しでも表に出る。そうしたとき、ご本人にとってもそれは新たな一歩だし、周りの人たちにも達成感というかお仕事のやりがいがあるのかな、と感じました。
関連リンク
○いそご地域活動ホーム いぶき 公式サイト
○横浜元町イタリア料理 パパ・ダビデ 公式サイト |
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いぶきからのお知らせ: 新垣 勉 おしゃべりコンサート (磯子公会堂) 9/15(土)
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あの、盲目のテノール歌手・新垣 勉(あらがき・つとむ)さんが、いぶき後援会主催のコンサートで磯子公会堂にやって来ます。チケットは一般の方も購入可能。既に発売中なので、お早めにどうぞ!
新垣 勉 おしゃべりコンサート
・2012年9月15日(土) 午後1時15分開場、午後2時開演
・磯子公会堂ホール
・前売り 一般3,000円、後援会会員2,500円
・当日 一般3,500円、後援会会員3,000円
※前売り券の販売状況によっては、当日券が販売されない可能性もあります。
※チケット購入方法などの詳細は、右画像をクリックすると表示されます(PDF)。
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