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ぐるめ工房 味遊(みゆう) 【磯子】

2007年5月作成
地図
★フレンチ、イタリアン、中華に和食。味の遊園地「味遊」へようこそ★
田中オーナー・シェフ
田中オーナー・シェフ
磯子の駅から徒歩5分。産業道路沿いにある「味遊」(みゆう)は、2007年5月に開店8周年を迎え、リニューアル・オープンしたばかりのレストラン。

気軽に入れる「近所のお店」という雰囲気の外観と、お値段のリーズナブルさとは裏腹に、料理はかなりの本格派。それもそのはず、オーナーシェフの田中さんは六本木のフランス料理店と青山のレストランで長年、腕を磨いてきたのです。

TVドラマ『バッカナーレ』を地で行く修行時代をくぐり抜け、青山のレストランで十数年シェフをつとめた後、磯子で味遊を開業。自由な発想で、バラエティ豊かな味の遊園地を切り盛りしています。

「手間のかかる料理を作るのが大好き」という田中さんの自慢メニューは煮込み系。シチュー、カレーからもつ煮まで、ジャンルにこだわらず、じっくり時間をかけて仕上げた品々は、多くのお客様たちを唸らせてきました。

そして、もうひとつの注目は定休日明けの火曜日。釣りが大好きという田中さんが自ら釣り上げた新鮮な旬の魚たちが、テーブルを彩ります。「火曜は味遊へ!」が常連さんたちの合言葉なんだそうです。

それにしても、こんな近場に、こんなに素敵なレストランがあったんですね。磯子区もまだまだ捨てたものではありません!

店内の写真1
改装したばかりの店内


味遊の田中オーナーシェフにロング・インタビュー
お店情報 営業時間、所在地、人気メニュー紹介などなど
part1 基本のソースにこだわってます。妥協はしないです。
part2 修行時代? 失敗するとフライパンが飛んでくる。
part3 素材を最大限に生かす調理法を選ぶのが基本。
part4 ハマっ子だから横浜にすごく執着心があるんです。 new
part5 好きな歴史上の人物? どの時代? new
part6 将来はギタリストになろうと思ってた。 new
↓写真をクリックすると、ミニ・アルバムが表示されます。クリックで次の写真に進みます(全4枚)。
味遊のお料理紹介
※このページの情報は取材時点でのものです。サービス内容や料金は変更される可能性があります。最新の情報は直接お店にお問合せください。
お店情報
店名 ぐるめ工房「味遊」(みゆう)
ジャンル 多国籍(フランス、イタリア、和ほか)
読者サービス 「磯子マガジン見ました」の一言で、初回のみディナー全品5%オフ
住所 横浜市磯子区森1−15−1 第一磯子ハイツ1階
電話 045(752)5222 (FAXも同じ)
アクセス JR根岸線・磯子駅より徒歩約5分
地図はコチラ
営業時間
平日 [ランチ] 午前11:30〜午後2:00 (LO 午後1:30)
[ディナー] 午後5:00〜10:30 (LO 午後10:00)
土日祝 [ランチ] なし
[ディナー] 午後5:00〜10:30 (LO 午後10:00)
※LO=ラスト・オーダー
定休日 毎週月曜日 (長期休暇=年末年始その他)
人気メニュー ランチ:ランチセット=850円より(日替わりにて各種)。

ディナー
○横浜で2番目においしい「もつ煮込み」 630円
○ビーフシチュー(赤ワイン仕立てのデミグラス) 1,575円
○骨付き仔羊の香草焼き 1,260円
○コンニャクのムニエル 735円
○シェフ自ら釣り上げた魚料理(日替わり)
その他、パスタ・ピザ、サラダ、チャーハン、うどん、おつまみ類など各種。
平均予算 ランチ:850円/1人
ディナー:2,500円/1人
パーティー お料理は3コース(2,625円/3,675円/5,250円)
+2,100円で飲み放題!(生ビール、サワー、日本酒、ワイン、ウィスキー、ソフトドリンク)
席数 全22席 (カウンター6席、テーブル16席)
開店日 1999年5月
その他 駐車場:なし
お子様連れ:OK
席の予約:大歓迎(無料)
貸切:可 (最大25人ぐらいまで)
クレジットカード:不可
味遊外観
産業道路をはさんで、森東小学校の向かい。

メニュー
ディナータイムのメニューです。クリックで拡大。

もつ煮のノボリ
「横浜で2番目にうまい もつ煮」のノボリ。
そのココロはインタビューをご覧ください。
基本のソースにこだわってます。ベーシックなところで妥協はしないです。
田中オーナーの写真
田中 研二(たなか・けんじ)さん
56歳(1950年生まれ)
出身:北九州市(10歳まで)
磯子区歴:青春時代は保土ヶ谷区で過ごし、’99年〜磯子区。
おすすめのお店居酒屋・秋(磯子)
---お料理のジャンルは?
田(田中オーナー):うーん、一言でいうのは難しいんですけどね。
僕はベースというか、もともとはフランス料理の出身です。でも味遊では、それだけじゃなくて、自由な発想でいろいろメニューを考えて作ってます。イタリアンの要素、和食の要素、中華の要素・・・。要するに、ごちゃごちゃなんだよね(笑)。
お店の名前は正式には「ぐるめ工房・味遊」っていうんですけど、ジャンルにとらわれずにおいしさを追求したいっていう想いで「ぐるめ工房」っていうフレーズを考えたんですよ。

---「ウチに来たらこれは食べてほしい」っていうお料理は何ですか?
:煮込み系ですね。ビーフシチューとかね。
奥(奥様):主人は煮込みがすごく上手なんです。だから、洋食ベースの店ではあるんだけど、モツ煮がすごく人気があるんですよ。
:煮込み系が僕は好きなの。どんな料理でも。カレーとかもね。

---煮込み系は作るのが好きなんですか、食べるのが好きなんですか?
:両方(笑)。作ることに関して言うとね、煮込み系は「料理を作ってるなー」って気持ちになるんですよね。コトコト煮て、アクを取って、そのソースを仕上げて、肉をまた別にして・・・、っていう手間のかかる作業がね。
:そういう手間をかけた料理でも、お値段はリーズナブルに、っていうのがうちのウリですね。
:だから、まずは煮込み系の料理を食べてみて頂きたいですね。夏でもおいしいビーフシチュー!

---料理を作るときのポリシーは?
:私は古いコックですからね、品質重視、味重視っていうかな。見た目はちょっと無骨かもしれないけど、食べたら最高だよっていう自負心はあります。基本のソースにこだわってますから。デミグラスにしろ、ホワイト・ソースにしろ。ベーシックなところで妥協はしないです。
:東京とか、横浜でも中心部に行かないと本格的な料理はなかなか食べられないっ、てお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、たとえばビーフシチューとか、本格デミグラス・ソースのハンバーグとか、身近で本物の味をお出ししてますので、ぜひいちど食べにいらしてください。

---味遊の料理の、味の特徴は?
:お客様からは「味がやわらかいのがいい」って言われますね。

厨房の写真---「やわらかい」ですか? どういう意味なんでしょう。
「ソフトな味」っていうのかな。味付けを「もうチョット」っていうとこでとめるんですね。完全に味付けせず、ほんの少し足らないぐらいでとめとく。

---それはどうしてでうか?
:ひとつひとつの料理の味が濃いと全部の料理を食べた終えたときに、くどくなっちゃうんです。だから、ランチなんかで一品だけのときはちょっと濃い目にするけど、ディナーでいろいろな注文のうちの一品だったら、少し薄味にします。
もちろん、「辛いのが好き」とか好みやリクエストがあれば、それに合わせて料理しますから、気軽に言ってくださいね。

---ところで、この壁に貼ってあるメニュー、「横浜で二番目にうまいモツ煮」が気になります。
:そんなに深く考えてなかったんだけど、ウチよりうまい店はどこかに1軒ぐらいあるかもしれない、っていう意味ですね。まぁ、愛嬌ですよ(笑)。ウチのモツ煮は特別なことはやってないんですけど、ちゃんと煮る時間は煮る。味付けはきちんとする。
:以前期間限定でやって、一度やめたんですけどね、再開したキッカケはグローバルの野木社長が「おいしいからぜひまたやってよ」って言ってくださったからなんですよ。
:で、去年の夏かな、再開したんだけど、売れる、売れる。
:仕込みが大変だったね。
:一度にたくさん作らないからね。やっぱり素材は鮮度が大事だからまとめては作れないんだよね。すべての料理にそうなんだけど、素材に妥協はしたくないんですよ。シチューでもそうなんだけど、変な材料だと作ってて楽しくない。
:「これじゃ、お客様に出したくない」って言うんです。
:捨てはしないですけど(笑)。自宅用になるね。
修行時代? 失敗するとフライパンが飛んでくる。
田中オーナーの写真---学校を出てすぐ料理の道に?
:そうですね、19のときかな。

---どういうキッカケで?
:いやー、あのー、どういう・・・キッカケ・・・ってねぇ。その頃はね、単なるガキで、アホだったんです(笑)。で、学校を卒業して、とにかく何でもいいから仕事しなきゃなんないと、そういう状況で。飲食店なら食いっぱぐれはないだろうっていうことで。それがキッカケといえばキッカケかなぁ(笑)。

---最初のお仕事はどこで?
:私もその頃の詳しい話は聞いてないのよ(笑)。
:御茶ノ水のジロー(レスロラン)のすぐ近くに「舟」っていう100人くらい入れる大きな喫茶店があってね。そこに社員として就職して。まぁ、食事とかも作ってたんだけど。ナポリタンとか、ミートソースとか。昔なつかしいスパゲッティね(笑)。

---そこでの料理はどうやって覚えたんですか?
:店の先輩に教えてもらってたの。でも、今考えれば、料理の範疇には入らないようなものだよね。十何人前をでっかいフライパンで一緒にいためたりね。でもそれはソテーじゃないんだよね。ただ混ぜ合わせてるだけ。それでも一応、料理を作ってるつもりだったんだけど。

---本格的な料理の道に入ったのは?
その店には、忙しいときとか、ときどき別の店からヘルプで来てたんだよね、フランス料理をきちんと修行した先輩が。その人がいろいろ料理についてアドバイスしてくれたのね。ところがあるとき「で、お前は何ができるんだ?」って聞かれたんですよ。

僕はなんにもできない。知識もない。その頃、そこに入って5年目ぐらいだったかな。もう厨房で「チーフ」って呼ばれてたんだよね。料理を作るのはわりと好きになってたのね。楽しいなぁって。

でもその先輩にそう聞かれてね、疑問を覚えたの。「このままでいいのかな」って。それで、「いちから勉強しなおしたいんで、どっかいいお店ないですか、紹介してください」って先輩にお願いしたんですよ。

先輩には六本木の「プレイ・バッハ」っていうフランス料理店を紹介してもらいました。「小さいけどすごくいい店。そこの料理は本物だから、勉強させてもらったらいいよ」って。あのね、フォン・ド・ヴォーってあるでしょ。仔牛のだし汁ね。あれは今でこそ珍しくないけど、昔はやってるとこ少なかったんですよ。本物のフォン・ド・ヴォーをやってる店は当時はザラにはなかった。ホテル内のフランス料理店はまぁやってたかな。で、プレイバッハではホテルのレストランじゃなかったんだけどフォン・ド・ヴォーをやってたよね。テレビで見るような有名人、芸能人が店に良く来てたなぁ。

---プレイバッハに入ったのは何歳のときですか?
23歳。プレイ・バッハのシェフには最初にこう言われたんです。
「23歳だともうお前は遅い方だから、普通の人は5年かかるところを半分の期間で教える。キツイぞ」

で、修行が始まった。ナベ洗い、まかない作り、買い物。まぁ、小間使いみたいなもんだよね。なんか失敗すると、フライパンが飛んでくる(笑)。これは恐かったね! 当たれば重傷を負うような勢いだもん。いちどなんか、ピザのパイ皿がバーンと飛んできてね、よけたら「よけんじゃない!」って怒られた(笑)。
まぁ、そういうのはどこでもあることなんだけど。

---厳しい世界ですね。
だけどね、料理もやらせてくれたんですよ。
そのシェフはね、若かったからか新しい考えを持ってる人でね、昔みたいに自分の技術を隠すっていうことが無かった。昔はそれこそ、料理に使ったナベは作った人が自分で洗う。洗わずに他人に渡すと味が盗まれるからっていう理由で。そういう世界だったわけ。でも、プレイバッハのシェフは全部なめさせてくれるし、やり方もすべて教えてくれたんですよ。すべて隠さずに。そんなことで、フランス料理の基礎を3年で徹底的に叩き込まれたました。
素材を最大限に生かす調理法を選ぶのが基本。
田中オーナーの写真---プレイバッハはいつ頃まで?
:26歳か27歳くらいですね。で、お世話になったシェフがプレイバッハを辞めたのをキッカケに僕も辞めて。しばらく料理からは離れて実家の印刷屋を手伝ってたんだけど、やっぱりまた料理やりたくなって東京に戻ってきて・・・。
で、知り合いに青山に「ル・デコ」っていうイタリアン・ベースの店を紹介してもらいました。昔カフェバーって、はやったでしょ。そういうのの一種。だけど、ちゃんとした料理も出すっていうのがお店のコンセプトで。
(※磯マガ注:カフェバーの歴史(?)を知りたい方はWikipediaのこちらのページでどうぞ。)

本当はフランス料理の店に入りたかったんだけど、まずは、やってみようと。で僕が入ったらすぐに、「ル・デコ」のシェフが辞めちゃったの。まぁ、いろいろ事情はあったんだろうけど。で、そこの店長に「田中さん、悪いんだけどシェフやってくれる?」って言われてね(笑)。入ってすぐ、いきなりだよ!
ちゃんと料理を勉強して取り仕切れる人間が他にいなかったっていうのもあってね。僕は新入りなんだけど、料理のことはいろいろ知ってたからね。「田中さんの好きなようにやっていいから」、「田中さん、やってよ、お願いしますよ」って頼まれて。覚悟を決めて、結局そこの店で13年間シェフをやらせて頂きました。

---そこでの料理はフレンチとはまた違った感じで?
:そうですね、フランス料理もあるし、パスタやピザとかもあるし、和風もあったり、エスニックもあったり、多国籍ですね。
店の雰囲気に合う料理をいろいろ考えたんです。純粋なフレンチは合わないと思ったから、ベースはイタリアンにして。ときにはカレーとかナンまで作ってみたり、すべて自分で考えてやったんですよ。もう、ル・デコではメニュー作るのが仕事みたいなもんだったから。

あとは素材に応じてね。この素材ならイタリアンで、こっちの素材はフレンチでっていう風に、ベストな調理法を選択をするように心がけてましたね。そのときの経験が今の味遊での料理にも生きてると思います。やっぱり料理って素材が一番だから。素材を最大限に生かす調理法を選ぶのが基本なんですよ。

---そういう選択の幅を広げるためには、いろんな店での食べ歩きも大事ですか?
:もちろんそうですね、やっぱり。それとね、食べ歩きでもピンとキリがあるとしたら、ピンを食べないとダメ。その料理の最高のものを食べないと、自分の作ってるものがどのくらいのレベルにあるかがわかんないでしょ。例えば1人前3,000円するロールキャベツ。それも都心のいい場所にあるお店だと土地代とかいろいろ含まれちゃうからね、そうじゃなくて、「こんなところにあるお店で3,000円! しかもお店が繁盛してる」っていうようなものを食べてみる。そういうことが大事です。
ハマっ子だから横浜にすごく執着心があるんです。
奥様とのツーショット---味遊をはじめるキッカケは?
:バイクで事故っちゃってね、ケガしたんです。で、しばらく青山の店を休まなきゃいけない。しかも、ちょうどその時期には、ル・デコでは私の時代は終わってたんですよ。バブルが弾けて店の売上も少し低迷してたし、「もう高給取りはいらない」っていう雰囲気があって。だから、そろそろ自分の店を持つ時期かなっていう気持ちの準備はあったんですね。そんなときのケガだから、これも何かの転機かなって思って。

---お店はなぜ磯子で?
:横浜っていうのは最初から考えてて。女房の実家が保土ヶ谷なんで。
:私はハマっ子なんです。
:僕も小中高と横浜だったし。それで、横浜でいろいろ探してたらここが見つかって。磯子駅から近いし、人も多いし、いいんじゃないかなって。
:ハマっ子の方はわかると思うんですけど、私、横浜にすごく執着心があるんですよ。お店を持つなら横浜市でって思ってましたので。だから私は大賛成(笑)。

---店名の「味遊」は造語ですね?
:特定のジャンルにこだわりたくなかったんです。たとえばフランス料理店って謳うと、モツ煮なんて出せないでしょ。うちはモツ煮も出してるんで(笑)。結局、いろんなものをやりたいっていうのがあるんですよ。自分の腕をすべて出したいの。自分の知識もフルに活用してね。
シェフは私で、誰も文句言う人いないし。モツ煮やろうが刺身やろうが、ビーフシチューやろうがロール・キャベツやろうが、自由なわけですよ。おいしいお料理を作って、お客様に喜んで頂ければいいんだから。
:で、味で遊ぼうっていうことで味遊なんです。それと私が思ってるのは、お客様にも味の世界で遊んで頂きたい。味の遊園地みたいなね。そういう両方の意味がこもってます。
:繰り返しになるけど、僕はジャンルにこだわりたくないのね。お客様に「煮魚ないの?」って言われたら、材料があれば出します。無いものは出せないけど、あれば何でも出してるんですよ。「ウチはそういう店じゃありません」とか、そういうのは無いんです。

---じゃあ、お客様からのリクエスト大歓迎ですね。
:そうそう、そうそう。材料があれば大抵のものは作りますよ。
:もし材料が無かったら急いで買いに行かなくちゃ(笑)。

---例えば、釣った魚を持ってきてもOKですか?
:OKですよ。手間賃は頂きますけど(笑)。

---今のお仕事の楽しいところは?
:うーん、いろいろありますよ(笑)。ただ、前の店でのシェフとしての喜びと、今の自分の店での喜びとは、種類がちょっと違うかな。前の店ではスタッフに指示を出して、チームワークで結果を出す喜び。チームの料理長としての喜び。
今のオーナーシェフとしての喜びは、オープンキッチンでやって、お客様の反応が直にわかることですね。「おいしいね!」って言ってもらえたり、直接反応がある。それはやっぱり楽しいよね。

---やっぱりお客様に喜んで頂けるのが一番ですか?
:そりゃぁ、もう! それが何より。「儲かる・儲かんない」も全く無いとは言わないけど、でも自分で作った料理は、自分の子どもみたいなもんなんですよ。それをおいしいって言ってもらえたら、それに優るものは無いですよね。
僕は料理はほとんど全部イチから作ります。カレーだったら、バターと小麦粉を炒めてルーを作るところから。仮にすごくおいしいカレールーがレトルトかなんかで売ってるとしてね、それを使ったとしても僕は楽しくないし、嬉しくないんですよね。やっぱりイチから作ってそれを「おいしい」って言われる喜びっていうのは、職業的なもの。この職業を選んで良かったと思います。

---ご自身は料理人に向いてると思いますか?
:そうだろうね、やっぱりね。そうじゃなきゃ、何十年もやってらんないよね(笑)。
:それでも見てると、くたびれてるときもあるけどね。仕込みが重なったときなんかね。
:ほとんど手作りだからね、仕込みが多いんですよ。ドレッシングでもなんでもね。例えばデミグラス・ソース作るのは1日じゃできないからね。3日くらいかけるときもあるよね。コトコト煮たり、ルーでちょっとつないだり。
あのね、デミって半分ていう意味なんだよね。
:あー、そうなの? 知らなかった(笑)。
:グラスっていうのは煮詰めるということ。だから元の半分の量になるまで煮詰めるっていうことなんです。それくらい手間がかかるんだよね。
好きな歴史上の人物? どの時代?
田中オーナーの写真
---小さい頃は保土ヶ谷区で?
:はい。小学校は星川小学校。中学校が保土ヶ谷中学校。高校が桜ヶ丘。そのときに親の仕事の都合で東京に引っ越して、銀座の都立京橋高校に転校しました。
:私は同じ保土ヶ谷区の岩崎小学校。
:中学はどこなの?
:いまの横浜英和。私が行ってた頃は成美学園ていう名前だったんですけど。南区の蒔田ですね。中高一貫の女子校です。で、明治の短大を出ました。短大は今年なくなっちゃったんですけどね。

---好きな科目は?
:国語。古文。「け・け・ける・ける・けれ・けれ」(笑)。キライなのは数学。なんつうの、あんまり考えるのは好きじゃないんだよね。古文とか国語ってあんまり考えないじゃない。ふだん喋ってる言葉なんだから。あと歴史モノが好きなの。

---そうなんですか。じゃあ、好きな歴史上の人物は?
:好きな歴史上の人物かぁ。うーん・・・。どの時代?

---(思わぬ質問に、言葉に詰まる磯子マガジン・・・)
:うーん・・・、そうねぇ・・・、柳生宗矩!

---(やぎゅうむねのり? 知りません!) あの、柳生十兵衛ではないんですか?
:十兵衛のお父さん。
:それはマニアック(笑)。
:いやぁ、なぜかっていうとね、山岡荘八の『徳川家康』っていう全26巻の時代小説を全部読んだんですけど、宗矩が随所に出てくるんですよ。で、彼は日なたか日陰かっていえば日陰なんだけど、凄く存在感がある。実際に世間を動かしてるのはコイツじゃないかっていう。そういう感じのね、・・・(としばらく続いた宗矩談義は省略させて頂きます)。
(※磯マガ注:柳生宗矩について詳しく知りたい方はコチラ(Wikipedia)。漫画「あずみ」には悪役として登場したそうです。)

---磯子区でおすすめのお店は?
:ここの並びの。偶然なんだけど板さんが俺の後輩でね、どういうわけか小、中が一緒。その頃は面識なかったんだけど。ここに店を開くときに秋に挨拶に行ったのよ。そしたら俺の後輩だってことがわかったんです(笑)。彼は毎日のようにランチを食べに来てくれてるんですよ。

---おすすめのスポットは?
根岸森林公園(中区)。あとは磯子海づり施設かな。

---海づり施設は良く行かれるんですか?
:うん。子ども連れてね。あそこは面白いですよ。

魚メニューの写真
店内に飾られていた「ある日のお魚メニュー」。
特に火曜日は要チェックです!
---休みの日は何をしていますか?
:ほとんど釣りだね。天気が悪くない限り。釣りは実質上、お店の仕入れと言っても・・・
:過言ではないね(笑)。それ目当てで、休み明けの火曜日にお客様がけっこう来てくださるんですよ。
:一本釣りの魚は、もう他では味わえません。アジなら刺身、キスは天ぷらが絶品です。シンプルな調理法が一番なんですよ。

---ときにはお二人でどこかお出かけになったりとか?
:昔は結構いろんなとこ行ったけどねぇ、今はほら、常に一緒にいるから。
:休みのときはなるべく離れたくなるね、お互いに(笑)。
:家でも一緒、店でも一緒なんだから、どっか行くときくらいは勘弁して欲しいよ(笑)。
将来はギタリストになろうと思ってた。
写真
---特技を教えてください。
:僕は特技っていうか、クラシック・ギターを弾くのが好きなんですよ。高校卒業するときにね、将来、クラシック・ギターのギタリストになろうと思ったの。

---え、剣道少年じゃなかったんですか?
:剣道少年だけど、剣道は部活。ギタはー独学でやってたの。NHKの教育テレビでギター教室を初めて放映したときに、テキスト手に入れて勉強してたんだよね。で、欲しいギターがあって、それを買うためにバイトしてたんだよね。
高校が銀座の近くにあってね、銀座の有名な山野楽器で売ってた、その当時で6万円したクラシック・ギターが欲しくて。6万円貯まるまで何度も見に行った。事前に手付金でも払っときゃ良かったんだけど、高校生じゃそんな知恵が無かったからね。いざ6万円貯まってから買いに行ったら、欲しいギターが売れちゃってたんだよね。似たようなギターは残ってたんだけど、それまでに何回も弾き比べてこれじゃなきゃイヤだと思ってたのが売れちゃってて。ショックでね。それでギター辞めちゃったみたいなもんだね(笑)。
:でも学園祭でやったんでしょ? 独演会で。
:うん。『アルハンブラの思い出』とね、あとモーツァルトとか。30分もらって。高校のとき。

--ほかに特技はありますか?
:食事が早い。これはコックの特長でね。5分あれば食べられますね。
:やっぱり洋裁かな。それと小物作り。最近は時間が無いのでできないんですけど。

---好きな本は
:時代小説。それと辻静雄さんのエッセイなんかいいですね。『パリの居酒屋(ビストロ)』とかね。辻さんは料理人ではないんですが、料理に関する知識がものすごくて、もう神様みたいな人ですよ。

---好きな音楽は?
:吉幾三。
:SMAP! 若いところで(笑)

---うーん、SMAPはもう若くないかもしれないですよ(笑)。
:(笑)そうよねぇ。今はKAT-TUNとかよねぇ(笑)。

---最近、怒ったのは?
:天気予報が外れると怒るね(笑)。「今日はシケる」って言ってて、実際は凪だったりするとねぇ。「おめぇら、それでもプロかよ」って。逆はまだ許せるんだけどねぇ。

---つまり釣りに行かれなくなると怒るってことですね(笑)。奥様は?
:真剣に怒ることっていうことはあんまりないかなぁ。

---子どもの頃の夢は?
:笑わないで欲しいんだけど、チョコレート思いっきり食べたいとかさぁ。貧しかったからねぇ。おなか一杯たべるのが夢だった。牛肉なんて贅沢は言わない(笑)。豚肉を食べたかったね。小さい頃は北九州に住んでたからね、鯨ばっかり毎日食わされたの、本当に。
:私は保母さんが夢だったの。高校生まではそう思ってたんだけど、受験でルートが変わっちゃって。短大のときにゼミで貿易をとって、先生に商社を薦められて。
:基本的にこの人ね、お嬢様なんですよ。旧家の娘さんで。育ちがすごくいいんですよ。だから、こういう商売、ぜんっぜん向いてないの。飲食店とかね。この店で8年やってるでしょ。まだ馴れないんだよね。永遠の初心者ね。それがいいんだよね、逆に。変にすれてなくて。感心するもん、この人。
:この人だって(笑)
:お客様が来ると緊張するしね。普通だったら「はい、いらしゃいませー」ってなるでしょ。そういうのは無い!
取材を終えて
実はこの原稿はかなり省略しております。特に調理法について。ものすごく細かいところまで、とても嬉しそうに熱弁を振るう田中シェフ。本当に料理をするのが好きで好きでしょうがない。そんな感じです。ですが、誌面の都合もあり、内容がかなり専門的でもあったので、割愛させて頂きました。
もちろん、割愛しても大丈夫だと思ったから割愛したのです。なぜかって? 専門的なことがわからなくても、味遊で食事をしていただければ、その味が本物だということは、すぐにわかるからです。
そんなわけで料理の話をどうしても詳しく聞きたい方は、お店で田中シェフにあれこれ尋ねてみてください。夜が明けるまで(?)話してくれるに違いありません。
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